兵庫県尼崎市にある「尼崎市立ユース交流センター」にて開催された、みんなの尼崎大学オープンキャンバスvol.36「オトナはわかってくれない、のか?」に参加して来ました。
「オトナはわかってくれない、のか?」イベント詳細
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近頃、尼崎の若者の活動が注目を浴びています。時代に合わない学校校則の見直しの訴えや、自分たちが過ごしやすい街を自分たちでつくっていこうとする動き、こども家庭審議会での意見など。彼らの積極的な活動は、ネットやSNSでも広く取り上げられてきました。
行政や周りの大人たちも若者の活動に対して寛容であり、支援体制を整えたり、制度上の後押しなどにいち早く取り組んできました。
大人に話を聞いてもらいたい彼ら彼女らと、若者の声に耳をかたむけようとする街の大人たち。それでもまだまだそこには「意見を聞いてもらう」「声を聞いてあげる」という非対称な関係性が透けて見えます。
みんなの尼崎大学では、子どもの権利を考えて、世代を越えたフラットな対話をするにはどうすればいいのかを探るトークイベントを開きます。 題して「オトナはわかってくれない、のか?」
今から尼崎で繰り広げられる若者政策について学び、大人と子どもの関係性や価値観をアップデートしませんか。 後半は若者と大人が本音で語るトーク「こんなオトナはいやだ」。みんなかつては子どもだった……からこそ手ごわい「私の頃は…」という先入観と言説を捨てるチャンスです!
(※みんなの尼崎大学公式Twitterアカウントより)
・イベントページ(HP)
https://www.city.amagasaki.hyogo.jp/kurashi/siminsanka/1001859/1033830.html
会場情報:尼崎市立ユース交流センター
すべての子どもたちが多様な価値観に触れ、自分らしく生きる社会を目指し、令和元年10月にオープンした青少年の居場所。「出会う」「実践する」「つなぐ」の三つの機能を特徴としており、利用者はゲームをしたり、大画面で映画を見たり、バンドの練習をしたりなど、思い思いに過ごせるスペースになっています。
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エントランスとなっている「Free space」のほか、学習室や図書コーナー、アクティビティを楽しめるホールなども完備。さまざまな用途に対応できる、懐の深さが感じられる素敵な施設でした。
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【施設情報】
住所:兵庫県尼崎市若王寺2丁目18番4号 あまがさき・ひと咲きプラザ内
HP:https://youthconso.jp/
開館日・休館日:
【開館日】火曜日~土曜日:午前9時~午後9時、日曜日・祝日・振替休日:午前9時~午後5時
【休館日】月曜日(祝日の場合は開館)・年末年始
利用料:青少年無料
お問い合わせ先:
【TEL】06-6423-7788
【E-mail】info@youthconso.jp
SNS:Twitter、Instagram
イベントレポート
当日は会場キャパギリギリの30名以上の参加者が集まり、大盛況のスタート。「オトナはわかってくれない、のか?」のテーマに興味関心を持つ人が地域にこんなにたくさんいるのかと、素直に驚きました。他の地域で同じテーマでイベントを開催したとして、これだけの人数規模はかなり難しい気がします。さすが尼崎市。
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市内外から広く人が集まっていたため、最初はいくつかのグループに分かれて参加者同士で自己紹介。進行役が配置され、場に馴染めるよう円滑な場回しが行われました。
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自分のグループの進行役は、全体司会の若狭さん。お互いの世代を聞くにあたり、「おいくつですか?」とストレートに年齢を聞くのではなく、「青春ど真ん中の一曲は何ですか?」と質問されました。
通常の自己紹介では、お互いの情報をただ交換し合う単調で作業的な時間になりがちです。しかし、「青春時代の一曲」の話題力は凄まじく、演歌の一節を歌いながらご紹介される高齢の方や、「僕はRADWIMPS!」「私はBUMP OF CHICKEN!」と嬉しそうに話す若者など、曲を媒介に一気にコミュニケーションが盛り上がりました。
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問いを工夫するだけでこうも盛り上がるのかと場づくりの妙を体感。運び方がめちゃくちゃ上手かったです。イベントでは全体を通してこうした”技”が随所に見られ、場づくりをしている人間としてとても勉強になりました。
自己紹介の後はセンタースタッフの今井さんによる「尼崎市立ユース交流センター」の施設ツアー。
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元々教育機関として使用されていた施設とあって設備はとても充実。ただ、ハード面が整っているからといって必ずしも良い場になるとは限りません。教育施設やコワーキングスペースによく見られますが、「ハコ」だけ立派で中身が残念といった場所は山ほどあります。
尼崎市立ユース交流センターの素晴らしい点は、これらのハードを利用者である若者たちが最大限活用し、各々の過ごし方を豊かにしているところです。スタッフは利用者との距離感を大事にしており、無理に介入することなく、彼らの活動を見守り、適切なタイミングで関わっていました。場全体が安心・安全で寛容な雰囲気に包まれ、若者から「あれやってみようかな」「これに挑戦してみようかな」といった主体的な動きが出てくるのは、こうしたソフト面が少なからず影響していると思います。
会場ツアーを終え、続いては尼崎市の取り組みの説明へ。
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市やユース交流センターは、青少年の活動をどのように支援し、後押ししてきたのか。法制度、市やユース交流センターの体制など、支援側として興味深い話を聞くことができました。
尼崎市には、「興味ない社会をアップデートする」といった想いのもと、若者たちが当事者として直面する課題やその解決策を市に提案していく「Up to You!」と呼ばれるプログラムがあります。イベントでは同プログラム内で活動している若者が登壇し、ヤングケアラー支援や虐待防止の活動、不登校児童生徒への支援といったそれぞれの取り組みを紹介してくれました。
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大勢の大人を前に物怖じすることなく、自分たちの活動に自信を持ち、魅力についてイキイキ語ると語る若者たち。彼らの発表にはとてもエネルギーがあり、心を動かされました。
一方で、「若いのにすごいなあ」と、無意識に「若い=未熟」といった捉え方をしている自分に気づきました。フラットに接しようとするものの、30数年かけて築いてきた無意識のフィルターはなかなか外せるものではありません。若者と関わる機会を増やし、無意識を意識化して、フィルターを一つひとつ外していきたいです。
最後はメインイベントであるグループトーク。「こんな大人はイヤだ」と題して、参加者の”オトナ”と同センターの若者に行った事前アンケートの結果をもとに議論を行いました。
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大人側の意見には、「若者とどう関わっていいのかわからない」「何を考えているんだろう」「うざいと思われたくない」といった不安感が表れたものが多く、若者側の意見では、「理不尽の押し付けがイヤだ」「話を聴いてくれない」「ウザい絡み方をしてほしくない」といった声が多く発表されました。
杞憂かもしれませんが、両者が互いにそう思っていたら、そもそもコミュニケーションなんて起こらないし、「面倒だから関わらないでおこう」となってしまう気がします。自分にとって好ましいコミュニケーションをだけ、あるいは自分にとって好ましい関係だけって、どだい無理な話だと思っているのですが、どうなんでしょう。
良い面と悪い面、清濁合わせて人間ですし、良い関係のときもあれば険悪な関係のときもあるのが人間関係だと思います。それは全体に言えることで、若いとか高齢とか年齢は関係ありません。初対面やある一定の時点で嫌な面が見えたからといってシャットアウトしてしまうのはもったいない。
スタッフの今井さんも、「関係構築には時間がかかる。初めてセンターに来た時から1年かけて仲良くなる子もいる」と話していました。プロであれ、いやプロだからこそ長い時間がかかることを知っているのではないでしょうか。
議論の後はそれぞれのグループで標語を作成。書道セットを用いて半紙に書き、全体でシェアして会を締め括りました。
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今回イベントに参加した背景には、オンラインフリースクール「choice」立ち上げにあたり、できるだけフラットに若者たちと関わる姿勢を体得したいとの意図がありました。
しかし、当日出会った尼崎市の若者たちはとても視座が高く、会話もかなりハイレベルで、こちらが目線を合わせたり、関わるにあたってフラットでいられるよう努力する場面はほとんどありませんでした。
イベントに参加することで、尼崎での取り組みが素晴らしく、実際に若者たちがイキイキと活動していることがわかりました。次はどうやって彼ら彼女らが今の場所に至ったのか、その「過程」を知りたいです。
今後また訪れる機会に恵まれたら、スタッフの動きや若者の過ごし方など、もっともっと詳しく見てみたいなと思います。
運営者の皆様、そして尼崎の若者の皆様、千思万考の機会を本当にありがとうございました。
![兵庫県神戸市加古川市姫路市ライターカメラマンロペス](https://ropeth.com/wp-content/uploads/2022/10/IMG_2563.jpg)
━━━━profile━━━━
兵庫県を拠点として活動している編集ライター、カメラマン。大学卒業後、小学校教諭、塾講師、保育士を経験。2019年からは合同会社hyphenに転職し、コワーキングスペースmocco姫路スタッフ、コワーキングスペースmocco加古川の立ち上げに関わり、コミュニティマネージャーとして活動。その後兵庫県播磨地域の情報誌『まるはり』の編集・取材フォトライターを経て独立。
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