【大阪府・東大阪市】近畿大学総合社会学部特別講演「社会課題を次世代に負わせないために〜不登校支援の現場から〜」

大阪府東大阪市にある近畿大学。同大学の総合社会学部心理学系専攻が主催する特別講演「社会課題を次世代に負わせないために〜不登校支援の現場から〜」に、オンラインフリースクールchoiceの共同代表/講師として登壇しました。

オンラインスクールchoice

兵庫県加古川市オンラインフリースクール居場所づくりユースワーク不登校支援適応指導教室

兵庫県加古川市を中心に、不登校児童・生徒を対象とした「未来を選び取る力を育てる」オンラインフリースクール。仮想空間「ovice」とICT教材「eboard」を使用し、オンライン上で子どもたちに学習指導、居場所づくり、探究型学習やクリエイト活動などの学びの機会を提供しています。

・オンラインフリースクールchoiceとは?
https://lit.link/onlinefreeschoolchoice

・【兵庫県・加古川市】不登校児童・生徒を対象としたオンラインフリースクール「choice」を始めます。
https://ropeth.com/2023/05/08/choice-edu/

近畿大学総合社会学部心理学系専攻主催 特別講演

近畿大学総合社会学部心理系専攻公認心理士臨床心理士オンラインフリースクールchoice不登校支援加古川市

大阪府東大阪市にキャンパスを持つ、言わずと知れた関西の名門近畿大学。同大学の総合社会学部にて、心理系の国家資格である「公認心理士」の資格取得を目指す学生たちに特別講演を実施しました。

・近畿大学(HP)
https://www.kindai.ac.jp/

・近畿大学総合社会学部(HP)
https://www.kindai.ac.jp/sociology/

近畿大学総合社会学部心理系専攻公認心理士臨床心理士オンラインフリースクールchoice不登校支援加古川市

ご用名いただいたのは、同大学の准教授である大対 香奈子様。応用行動分析(ABA)をご専門とされており、学校でのポジティブ行動支援や学校コンサルテーションを中心に、発達障害児を含む子どもの学校適応支援に関する実践と研究をされています。

・大対 香奈子様の研究者HP(リサーチマップ)
https://researchmap.jp/kanakotsui

初めてお会いしたのは、年始に開かれた株式会社シーアイ・パートナーズ様が主催する「家住アカデミー」の会場。登壇者同士でお話が盛り上がり、今回のご縁につながりました。この場を借りてお礼申し上げます。株式会社シーアイ・パートナーズの家住様、お誘いいただいた花見さん、本当にありがとうございました。

・株式会社シーアイ・パートナーズ(HP)
https://www.starlit-group.net/corporate

講演の様子

当日は授業をとっている学生だけでなく、講演に興味を持ってくださった学生や職員を含めて20名以上が参加。不登校問題に課題意識を持っている多くの学生や職員が聴講に訪れてくださり、とても嬉しかったです。

近畿大学総合社会学部心理系専攻公認心理士臨床心理士オンラインフリースクールchoice不登校支援加古川市

講演の主題は「社会課題を次世代に負わせないために」。現在社会に山積しているさまざまな社会課題、これらを「自分には関係が無い」「自分は我慢できる」と放置していると、後世へ負債として残してしまいます。私たちはオンラインフリースクールchoiceとして解決に取り組んでいる社会課題の一つ、「不登校問題」を軸に現場の実態をお話ししました。

流れとしては、最初に不登校問題がどれだけ深刻なのかを統計データを用いて説明。その後、解決の取り組みとしてオンラインフリースクールchoiceの事業を紹介しました。

近畿大学総合社会学部心理系専攻公認心理士臨床心理士オンラインフリースクールchoice不登校支援加古川市
近畿大学総合社会学部心理系専攻公認心理士臨床心理士オンラインフリースクールchoice不登校支援加古川市
以前から重大な問題として認知されていましたが、近年さらに深刻化。
近畿大学総合社会学部心理系専攻公認心理士臨床心理士オンラインフリースクールchoice不登校支援加古川市
不登校児童生徒の20%近くがそのまま「引きこもり」へ。社会的な損失についても説明しました。
近畿大学総合社会学部心理系専攻公認心理士臨床心理士オンラインフリースクールchoice不登校支援加古川市
バーチャル空間「ovice」を用いた授業の様子を紹介。
近畿大学総合社会学部心理系専攻公認心理士臨床心理士オンラインフリースクールchoice不登校支援加古川市
対個人だけでなく、対社会の取り組みも併せて紹介。

「目の前の子どもたちに教育機会を提供するのはもちろん、受け皿である社会の通念や制度を変えないと不登校児童生徒は次々に出てくる」と、教室にとどまらない幅広い活動を紹介しました。事態の深刻さと”オンライン”フリースクールというソリューションの新しさが興味関心を引いたようで、聴講者の皆さんはメモをとりながら一生懸命話を聞いてくださいました。

近畿大学総合社会学部心理系専攻公認心理士臨床心理士オンラインフリースクールchoice不登校支援加古川市
近畿大学総合社会学部心理系専攻公認心理士臨床心理士オンラインフリースクールchoice不登校支援加古川市

続いて、大対先生から要望のあった「教育・福祉現場での心理職の現状やニーズ」について。支援機関のアウトリーチの課題や、心理職の専門性が軽んじられている実態についてお話ししました。

中でも聴講者の目の色が変わったのがこちらのデータ。不登校に対する公的な支援があると知っていても、実際の利用には至っておらず、解決に対して何も有効な手を打てていない家庭が6割近くに上るというデータです。

近畿大学総合社会学部心理系専攻公認心理士臨床心理士オンラインフリースクールchoice不登校支援加古川市
近畿大学総合社会学部心理系専攻公認心理士臨床心理士オンラインフリースクールchoice不登校支援加古川市

支援窓口やサポートを充実させたからといって、利用されなければ意味がありません。認知から利用へ移る間にどういった壁があるのか。現場の支援職であっても、こうした課題に向き合っていかなければ適切に支援を届けられないのだと訴え、アウトリーチのその先にある課題について説明しました。

続いては二つ目の心理職の専門性が軽んじられている実態について。

支援機関では非正規で働く心理職が多く、年収も300万円台と、同年代の他職種と比べてかなり低いことがわかります。また、現場ではそもそもの採用枠が少ない上に学生ボランティアや教員OBといった低コスト人材を充てがうケースが多く、人材の専門性が軽んじられている実態も紹介しました。

近畿大学総合社会学部心理系専攻公認心理士臨床心理士オンラインフリースクールchoice不登校支援加古川市
近畿大学総合社会学部心理系専攻公認心理士臨床心理士オンラインフリースクールchoice不登校支援加古川市
近畿大学総合社会学部心理系専攻公認心理士臨床心理士オンラインフリースクールchoice不登校支援加古川市

これから社会に出る学生にとっては衝撃のデータだったようで、記事下部でご紹介している感想文でも多くコメントをいただきました。

最後は時間の関係で取り扱うことができませんでしたが、ワークショップ内容も軽く紹介。20代の独り暮らしでかかるコストを算出し、収入がいくらあれば豊かな生活を送れるかシミュレーションするワークです。

近畿大学総合社会学部心理系専攻公認心理士臨床心理士オンラインフリースクールchoice不登校支援加古川市
イメージしやすいように年齢が近いペルソナを設定し、見本を作成していました。

社会課題と闘うためには、まず何より自分が健康で満たされた生活をしている必要があります。そうでなければ過酷な現場で長く闘い続けることはできません。経済的、精神的、肉体的に健やかであれるよう、ライフプランを考えて社会に臨んでほしいとの想いで用意したワークでした。

講演の終盤は、共同代表でありchoiceの発起人である伊藤へバトンタッチ。前半の説明の補足と、今後同じ現場で働くことになるであろう学生たちへ「無理せず自己犠牲でない形で社会課題に向き合ってほしい」と優しい声色でメッセージを伝えてくれました。

近畿大学総合社会学部心理系専攻公認心理士臨床心理士オンラインフリースクールchoice不登校支援加古川市

また、行政や関係機関との窓口として動いている中で感じた連携の難しさについても言及。今後行政で働く学生たちもいると思うので、その時はぜひ多種多様なステークホルダーと連携し、リソースを最大化して課題に取り組んでほしいと思います。

近畿大学総合社会学部心理系専攻公認心理士臨床心理士オンラインフリースクールchoice不登校支援加古川市
近畿大学総合社会学部心理系専攻公認心理士臨床心理士オンラインフリースクールchoice不登校支援加古川市

90分という長時間の講演にもかかわらず、学生の皆さんは真剣に耳を傾けてくださり、最後まで顔を上げて話を聞いてくれました。質疑応答は多くの手が上がり、チャイムが鳴った後に廊下で対応する場面も。積極的に臨んでくださって本当に嬉しかったです。

学生たちの感想

講演後は、少ない休み時間を削ってまでしっかりレポートに感想を綴っていただきました。一字一句が宝物です。一部ではありますが、以下にてご紹介させていただきます。


一人目は、choiceの理念である「未来を選び取る力を育む」に共感したと書いてくれた学生さん。自身の考えも含め、真正面から思ったことを表現してくれました。同じ理想を持つ同志として、いつか現場でご一緒したいですね。

近畿大学総合社会学部心理系専攻公認心理士臨床心理士オンラインフリースクールchoice不登校支援加古川市

続いての学生たちは、講演で取り上げたデータについて気づきを書いてくれました。自分自身、支援機関の認知率と利用率の差を知った時は驚いたので、学生たちにとっても衝撃だったと思います。中には「だから私はこうしたい」といった表明もあり、今後に明るい可能性を感じました。

また、実際に窓口へアクセスした経験のある学生はUI/UXデザインについても言及しており、体験を含めて感じたことを伝えてくれたのが嬉しかったです。

近畿大学総合社会学部心理系専攻公認心理士臨床心理士オンラインフリースクールchoice不登校支援加古川市
近畿大学総合社会学部心理系専攻公認心理士臨床心理士オンラインフリースクールchoice不登校支援加古川市
近畿大学総合社会学部心理系専攻公認心理士臨床心理士オンラインフリースクールchoice不登校支援加古川市

こちらの学生たちは、年収やライフプランについての感想を書いてくれました。時間が無く、ワークショップは実施できませんでしたが、意識として持っていただけて良かったです。長く現場で働けるよう、強固かつ豊かなライフプランを描いて実現してほしいです。

近畿大学総合社会学部心理系専攻公認心理士臨床心理士オンラインフリースクールchoice不登校支援加古川市
近畿大学総合社会学部心理系専攻公認心理士臨床心理士オンラインフリースクールchoice不登校支援加古川市
近畿大学総合社会学部心理系専攻公認心理士臨床心理士オンラインフリースクールchoice不登校支援加古川市

最後はこちら。この感想は嬉しかったですね。自分は教育学部の出身なのですが、当時の学生の多くは「先生になること」「教員採用試験に受かること」がゴールでした。「先生になってどうしたいのか?」といったその先のキャリアプランまで明確に描けていた学生は多くありません。今のタイミングで「心理職としてどうしていきたいのか?」まで視座を上げられたのは本当に素晴らしいことだと思います。

近畿大学総合社会学部心理系専攻公認心理士臨床心理士オンラインフリースクールchoice不登校支援加古川市

講義を終えて

1コマ90分の大学での講演は初めてでしたが、聴講者の皆さんの心に届いたようで嬉しいです。長く、難しく、シビアな内容もあったにもかかわらず、最後までしっかり耳を傾けてくださいました。いつか現場でご一緒できるときが楽しみでなりません。その際はぜひよろしくお願いいたします。

今回機会をくださった近畿大学の大対先生、聴講に訪れてくださった皆さん、本当にありがとうございました。


兵庫県神戸市加古川市姫路市ライターカメラマンロペス

━━━━profile━━━━
近畿圏を拠点として活動している編集ライター、カメラマン。大学卒業後、小学校教諭、塾講師、保育士を経験。2019年からは合同会社hyphenに転職し、コワーキングスペースmocco姫路スタッフ、コワーキングスペースmocco加古川の立ち上げに関わり、コミュニティマネージャーとして活動。その後兵庫県播磨地域の情報誌『まるはり』の編集・取材フォトライターを経て独立。2024年3月より大阪・福島のコワーキングスペースGRANDSLAMのコミュニティマネージャー。
━━━━━━━━

タイトルとURLをコピーしました