兵庫県加古川市にある「ホームスクール こどり〜む」にて、オンラインフリースクールchoice主催のイベント「こどもの社会環境を考えるWORKSHOP」の第3回を開催しました。
オンラインスクール「choice」について
兵庫県加古川市を中心に、不登校児童・生徒を対象とした「未来を選び取る力を育てる」オンラインフリースクール。仮想空間「ovice」とICT教材「eboard」を使用し、オンライン上で子どもたちに学習指導、居場所づくり、探究型学習やクリエイト活動などの学びの機会を提供しています。
・オンラインフリースクールchoice
https://lit.link/onlinefreeschoolchoice
・【兵庫県・加古川市】不登校児童・生徒を対象としたオンラインフリースクール「choice」を始めます。
https://ropeth.com/2023/05/08/choice-edu/
「こどもの社会環境を考えるWORKSHOP」とは?
<こどもの社会環境を考えるWORKSHOP>は、子どもたちに対する権利の保障を中核とする包括的な支援「居場所支援」と呼ばれる取組について、地域での情報交換会を行い、共に学び、共に繋がり、こどもたちの笑顔を作ることを一緒に考えるイベントです。
主催:オンラインフリースクール「choice」
・第1回イベントレポート
【兵庫県・加古川市】「こどもの社会環境を考える」@ON THE HILL
・第2回イベントレポート
【兵庫県・稲美町】第2回「こどもの社会環境を考える」@くにおか公会堂
ホームスクール こどり〜む
兵庫県加古川市にある、「だれもが自分らしく過ごせる みんなでつくるみんなの学校」をコンセプトとするフリースクール。子どもたちがお互いに尊重し合い安心して過ごせるような環境づくりを行っており、こども主体で運営されています。
・ホームスクール こどり〜む(HP)
https://kodoriimu.com/
・ホームスクール こどり〜む(Instagram)
https://www.instagram.com/kodoriimu/
「こどもの社会環境を考える」イベントレポート
第1回、第2回に引き続き、第3回の「こどもの社会環境を考えるWORKSHOP」も兵庫県播磨地域の居場所、フリースクールにて開催。今回場所をお借りしたのはホームスクール こどり〜むさん。子どもたちの過ごしている環境を感じながら学べるスタイルで、施設を見学をしつつ普段どのような取り組みを行なっているのかを教えていただきました。
代表のたつみさんは、これまでに「家庭保育ルームひなたぼっこ」の運営や児童発達・放課後等デイサービスにて児童指導員としての経験があり、さらに中学校教諭、チャイルドマインダーの資格を持っている教育のプロフェッショナルです。同スクールでは子どもたちの主体性を大切にしており、普段から子どもの可能性を信じ、誰もが自分らしく過ごせるような環境づくりをされています。
具体的な実践として印象に残ったのは、学びの環境を子どもたち自身がつくりあげていくプロジェクト。我々が利用させていただいた空間の壁や机といったハードのDIYはもちろん、ソフトであるイベントの企画立案から実行までもを子どもたち自身が行なっています。
「子どもの主体性を大事にする」という言葉は最近よく目にしますが、残念ながら絵に描いた餅で終わっている事例がほとんどです。「自由」を与えることは「責任」もセットで与えることになるため、「子どもにそんな重荷を背負わせることはできない」と躊躇してしまう教育者が少なくありません。しかし、ホームスクール こどり〜むでは「子どもを信じ切ること」を信条にしており、成功も失敗も当人の成長につながる経験として大事にされてきました。
子どもを思うが故に失敗しないようコントロールしようとする気持ちはわからないでもないですが、長い人生を生きていく上で失敗経験はとても大事です。自分も子どもが失敗しないように先回りしてアプローチするのではなく、失敗したのちに再び立ち上がれるようサポートし、その足腰を鍛えることに注力していきたいなと思いました。
たつみさんのお話の後は、参加者同士の自己紹介タイム。それぞれどのような思いでどのような取り組みを行なっているのか。資料を活用しつつ各々の言葉で活動を紹介しました。
スケジュールを大幅に押しながらプログラムは後半へ。参加者それぞれが日々抱えているモヤモヤ感や困りごと、話したいテーマなどをポストイットに書き出しました。
出された困りごとやテーマはさまざまで、公立の学校に対するイメージやモヤモヤしたエピソード、団体運営や組織のマネジメントの話、子どもとの関わり方など幅広い意見が集まりました。
ポストイットに書き出した後は模造紙に貼り、なぜそのテーマに引かれたのか、なぜこのテーマについて話したいのかについて発表。予定ではプログラムを区切って議論の場へ移るつもりでしたが、各グループとも盛り上がるにつれシームレスに議論へ移っており、活発に対話が行われました。
途中、場に風を吹かせるために「課題や困りごとがあった際は共感だけでなく具体的な解決策についても考えてみましょう」とアナウンス。感情に寄り添うことはとても大事ですが、根本的な問題の「解決」をせずに感情的な「解消」だけしてしまうと、現状は何も変わらずそのまま課題が放置されてしまいます。
また、「誰々がどうすべきだ」といった主語が自分ではない意見は、当事者が存在しない場で議論をしても具体的なアクションにつながらないため、極力「じゃあそのために私たちはどうするのか。何ができるのか」を考えましょうと進言。より建設的な議論が行えるようサポートしました。
これはよくchoice代表の伊藤が苦言を呈しているのですが、教育系のイベントは語り合うだけで満足し、次のアクションが何も決まらず、結局何のためのイベントだったのかが全くわからないままに終わってしまうものが多くあります。せっかく有限な時間を割いて教育・福祉のプロが集まったのに、井戸端会議だけで終わってしまっては勿体無い。課題解決に資するような議論を行うために、我々も意識して場づくりをしていこうと思います。
後半のプログラムを終え、イベントはいよいよ閉会へ。今回も居場所づくりやフリースクールの関係者に多数ご参加いただき、さまざまな角度からテーマについて話し合うことができました。盛り上がった熱量は冷めやらず、イベント終了後も積極的な意見交換や情報交換が行われていました。
当スクールとしては、イベント中に話題にあがっていた「情報が必要な人に行き届いていない」といった課題の解決に力を入れていくことを決意。プロジェクトも現在進行中です。まだオープンにはできませんが、しかるべきタイミングで公開できればと思いますので、ぜひお楽しみに。
末筆にはなりますが、今回ご参加いただいた皆様にお礼申し上げます。今後それぞれのフィールドで実践を重ね、知見を広げ、再びこの場で出会えることを楽しみにしております。本当にありがとうございました。
━━━━profile━━━━
兵庫県を拠点として活動している編集ライター、カメラマン。大学卒業後、小学校教諭、塾講師、保育士を経験。2019年からは合同会社hyphenに転職し、コワーキングスペースmocco姫路スタッフ、コワーキングスペースmocco加古川の立ち上げに関わり、コミュニティマネージャーとして活動。その後兵庫県播磨地域の情報誌『まるはり』の編集・取材フォトライターを経て独立。
━━━━━━━━